四季の変化を肌で感じる情緒あふれる谷あいの秘境。信州大町・葛温泉「温宿かじか」

大町市の市街地から車で高瀬川沿いに西へ。周辺は中部山岳国立公園に指定され、今なお手つかずの景観がのこります。昭和44年(1969)夏の土砂流で全壊し、その後東京電力が高瀬川の上流に高瀬、七倉の両ダムを整備したのです。そんな高瀬川沿いに3件の温泉宿があるのが葛温泉です。手前から仙人閣、温宿かじか、高瀬館があり、車の往来」も少なく湯音だけが響きます。

葛温泉の開湯は200年ほど前の慶長3年(1598)に襲った凶作の年に里人が自生する葛を求めて入山した際に発見されたといい「槍にしようか、烏帽子にしようか、ここは思案の葛の湯まかせ」と山男たちに謳われたように昔はアルピニストの拠点として利用されていました。

平成8年(1996)に再建された温泉は男女別の内湯と屋根付きの半露天風呂があります。それぞれに内湯は87.8度、露天風呂には72.4度の2種源泉、単純温泉が源泉かけ流しで湯船に注がれています。露天風呂「慶長の湯」は、源泉のうち最古と伝えられる「橋本の湯」を使い、ほのかに硫黄の香りと湯の花が満喫できます。半露天からは自然の息吹が感じられ、時には猿や鹿が覗きにきてくれます。

内湯風呂「高野槇の湯」は浴槽すべてに木曽五木のひとつ高野槇が使用され照明を落とし、暗めの浴室に木肌をライトが浮かびあがらしています。         2019/3/17入湯

鮮やかな黄緑色が目に美しい個性豊かな源泉。志賀高原熊の湯温泉「熊の湯ホテル」

群馬との県境に近い、渋峠近くに熊の湯はあります。幕末の松代藩出身の蘭学者、佐久間象山が見つけたとされ、熊が湯に湯かって傷を癒しているのを見て名づけたのが由来とされています。文人墨客にも愛され、大正時代には与謝野晶子が投宿し、「熊の子の けがして足を 洗えるが 開祖といひて 伝わるいでゆ」と詠んだ。

建物に入ると硫黄の臭いが鼻孔をくすぐり、湯殿には全国に3か所しかないという神秘的な黄緑色の湯が目に入る。湯船と床は総ヒノキ造りで湯けむりのくぐもった湯殿はなんともぜいたくな空間です。

ホテルの中庭より湧出する源泉は72度、湯量も豊富で24時間かけ流しにしていても尽きない。男女別の内湯のほか、男性用は露天風呂、女性用は半露天の桶の風呂があります。冬の時期は雪見風呂が楽しめます。           2019/3/16 入湯